たとえば、昨年6月にWomen's eNewsの女性記者の取材を受けたダラスの女子高生オーブリー・ウィルスさん(17歳)も、卒業を控えて両親から豊胸手術をプレゼントされた1人である。取材の時点ではまだ手術を受けていないが、オーブリーさんはこう語っている。
「大学に行けば、もう貧乳だった過去とはおさらばです。周りの人は誰も、貧乳だった私を知らないんですから。でも、高校在学中に手術を受けたとしたら、バレバレですよね」
オーブリーさんは、AカップからCカップにサイズアップする予定。
豊胸手術が米国ほどポピュラーでない日本のわれわれが聞くと、驚かされてしまう事実がある。オーブリーさんの実母も、祖母も、叔母も、継母も全員が豊胸手術を受けているというのである。だから、彼女には抵抗感のかけらもないのだろう。
米国美容整形手術協会によると、米国人が2004年度に美容整形に費やしたお金は、なんと125億ドルに上る(@120円で計算すると、1兆5000億円!)。もちろん、この中には豊胸だけでなく、脂肪吸引や顔の整形など、あらゆる美容整形が含まれている。
米国で2003年中に豊胸術を受けた18歳以下の女性の数は3,841人だという(これも米国美容整形手術協会発表のデータ)。2002年には3,095人、2001年には2,596人だったので、年々増えてきている。
米国美容整形手術協会会長のロッドJローリッチ医師は、こう話している。「卒業の時期になると、美容整形手術を受けにくる10代女性が増えます。学校が休みの時期のほか、特にクリスマスシーズンは多くなりますね」
この現象は全米で見られるが、テキサス州とカリフォルニア州がずば抜けているという。南カリフォルニア大学医学部のゲーリー・ブロディ教授(美容整形外科)は「豊胸はファッションの1つになっているみたいですね」と話す。
ダラス商工会議所広報部のジョー・トリジラさんは、彼女と仲のよい友人10人のうち、8人が豊胸術を受けたと話している。費用をキャッシュで払えない友人は、ローンで手術を受けた。「私が1990年に高校を卒業したころは、整形と言えば鼻の整形のことでしたけどね」とトリジラさん。
さて、ぼちぼちクリスマスシーズンである。日本では、さすがに自分のパートナーや大切な人に美容整形手術をプレゼントする人はきわめて珍しいだろう。だが、米国では、かなり多いらしいのだ。
卒業記念の豊胸というのは、たいがい本人からのおねだりに両親が応えるかたちでプレゼントされるものだろう。しかし、クリスマスの場合は、相手の意表を突くプレゼントを贈ることに知恵を絞る人もいる。
米国顔面整形/再建手術学会(American Academy of Facial Plastic and Reconstructive Surgery)の調査によると、2004年度中に、美容整形手術費用をプレゼントされた患者を受け持ったと答えた顔面美容整形医は49パーセントに上った。この割合は、2003年度には35パーセント、2002年度には31パーセントだったので、明らかな増加傾向にある。
つまり、顔の美容整形(豊胸術ではない)がプレゼントされることが実に多いことを意味している。
大丈夫なのだろうか? 意表を突くつもりが、相手を激怒させてしまう可能性もあるのではないだろうか? 胸の大きい小さいは単純かつ客観的に判断できるが、顔の美醜には複雑な要因が付随する。しかも、どこをどう直せというのか、はっきりしなかったりする。
自分ではそこそこイケていると思っている女性や男性が美容整形外科の予約券をプレゼントとして受け取ったら、それこそ“余計なお世話”というものである。また、顔のどこかにコンプレックスを持っている人の場合は、深く傷ついてしまう可能性もある。
さらに、米国では、脂肪吸引術をプレゼントするケースも多いらしい。これまた、“自分で努力してダイエットできないなら、脂肪を吸い取ってもらえばいい”という含みがあるわけで、プレゼントされた側は侮辱されたと感じるかもしれない。
実際、米国美容整形手術協会の前会長ウォルター・エアハルト医師も、次のような警告を発している。「ヒーローになるつもりが、無残な結果に終わる可能性があります。美容整形手術は、本人の意志に基づいて行われなければなりません」
「美容整形手術をクリスマスプレゼントにしてよいのは、相手が美容整形を受けたがっている場合だけです。美容整形を受けたがっているかどうかも分からない相手に美容整形をプレゼントするのは、トラブルのもとです」
マサチューセッツ州ウェルズリーの美容外科医ケニス・マーシャル医師も、エアハルト医師の話に賛同している。「相手の意表を突くかたちで美容整形手術をプレゼントすると、侮辱行為になりかねません。相手がそれを望んでいるかどうかを事前に確認しおかないといけませんね」
自分が望んでもいない整形手術をプレゼントされるのは、“ありがた迷惑”の極みである。
ありがた迷惑さ10 ■■■■■■■■■■
ま、美容整形にはお金がかかるので、クリスマスにぽーんとプレゼントしようなんて気前のよい人は、一握りの人たちを除いて、いまだ景気がよいとは言えない日本にはあまりいないかもしれない。しかし、二重まぶたの手術なんかだと費用も安いので、相手の意表を突くクリスマスプレゼントの候補に挙げる人がいるかもしれない。
ただ、相手が普段から、しつこいほど「二重にしたい」とか、「吸引しようかな」とか、「シリコン入れようかな」とか言っている場合なら、一切何も匂わせずに、美容外科の予約券とその費用をプレゼントしてしまうと、相手の意表を突きながら感謝感激してもらえるはずである。
女性から男性に整形手術をプレゼントするケースも考えられるが、包茎手術をプレゼントするのは、相手を傷つけるリスクがかなり高そうに思う。
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